プロボノという言葉を知っていますか?

ラテン語で「公共善のために」を意味する pro bono publico の略で、自身のスキルを活かして社会貢献を行うことを指します。発祥地はアメリカ。2010年には、日本でもその概念が広く紹介され、日本におけるプロボノ元年とも言われました。

probono01

しかし、無償での社会貢献といえば、一般的には「ボランティア」が思い浮かびます。ボランティアとプロボノはなにが違うのでしょうか?

この二つを区別するのが、職能・スキル・専門性の有無です。ボランティアは多くの場合、参加者が「時間」のみを提供するかたちで活動にあたりますが、プロボノはさらに自分の持っている「専門的な能力」も提供します。例えば、弁護士が無償や低報酬で行う法律相談やコンサルティングといった活動が、プロボノに当たります。

では、弁護士のような高度な専門性を持たない人はプロボノができないのでしょうか。実は、そんなことはありません。広報、人事、デザイン、システム開発、営業、プロジェクトマネジメントといった、ある程度一般的なビジネススキルを持った人にも、活動の場が広がりつつあります。

2001年にはアメリカで「タップルートファンデーション」というNPOが組織され、スキルと空き時間を提供できる人と、そのスキルを利用したいNPOを結びつけるシステムが構築されました。日本でも、2005年に「サービスグラント」というNPOが組織され、以後「プロボネット」や「二枚目の名刺」といった団体がマッチングを行っています。

例えば、河川清掃を行うNPOが、財源確保のために、ゴミ拾いを企業の人事研修に導入し報酬を得たいという企画が持ち上がりました。そこで、研修プログラムの策定や、企業へのアプローチ戦略の立案をプロボノに依頼。営業スキルをもったプロボノにより、見事5社からの研修を受注するに至ったといいます。

また、千葉県の工業高校で地域連携を目指した「コンソーシアム」を立ち上げる計画に、プロボノが助力。行政や団体との連携を図りながら、高校のイメージアップを図るような計画を立案中です。

bsYOTA82_akusyuwomotomeru15123614

仕事を発注するNPO側には、豊富でない資金の中でより高いレベルの活動が可能になるという大きなメリットがあるプロボノ。

一方、プロボノとしての参加者は「社会のために貢献したい」という思いはもちろん、「仕事以外の活動の場を持ちたい」という希望や、「会社を離れた自分のスキルを確かめたい」といった自分への挑戦を理由に参加する人も少なくないようです。実際、会社では出会えないスキルを持った人との出会いや、普段の仕事では直面することのない社会問題への気づきなど、人間的な成長を実感するひとも多いとか。

もちろん、そのプロジェクトを通しての経験や気づき、人脈などが、本業の仕事へ好影響をもたらすであろうことは想像に難くありません。

<参考>
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100219/211732/?P=1
http://diamond.jp/articles/-/20173
http://greenz.jp/2013/11/27/pro_bono_forum_tokyo/
http://www.tentosen.org/2012/05/31/puro-bono-7platforms/
http://diamond.jp/articles/-/74641