あなたが仕事をする場所はどこですか―。

会社員であれば、自分の会社のオフィスや店舗、工場と答える人が多いかもしれません。しかし、同じ場所での作業は時として意欲をそぎ、クリエイティビティや生産性を高められない要因にもなります。

自営業やフリーランスの人は、自宅が仕事場になっている人も少なくないでしょう。場所を利用するのにコストがかからず、通勤の時間も節約できることは大きなメリットですが、緊張感や集中力が保てず、仕事の質を下げてしまうこともおおいにありえます。そんなデメリットを解決する、「家」や「会社」ではない第三の仕事場が注目を集めています。

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インターネットが一般的なツールとなり、接続環境が充実してきた昨今、「ノマド」というワークスタイルが認知度を得てきました。決まった場所に事務所を持たず、カフェなど都合のいい場所で仕事をすることを指します。

携帯電話でいつでも連絡がつき、パソコンがありネット環境さえ整えば、どこでも情報のやり取りができる―。そんな現代では、限定された場所で仕事をする必要がなくなったといえます。しかし、カフェはフルタイムの仕事を仕上げるほどに長時間を過ごすには向いていません。また、ビジネス上の込み入った電話をするのもはばかられます。そこで、第三の仕事場『コワーキングスペース』なのです。

そもそも、1980年代からコンパクトな個室や会議室を貸し出す、レンタルオフィスのサービスは存在していました。それが2000年代に入ると個室を廃したフリースペースをデスク単位で貸し出す、コワーキングスペースが誕生しました。そこでは、自分の占有スペースを持つというオフィス機能は薄れたものの、オープンな空間を共有することによって、利用者同士の交流が促される結果となりました。

コワーキングスペースでは、異業種の交流によって人脈が広がり、新たなビジネスの種が生まれることもあります。また、ユーザー同士の関わりによって、一人では思いつかないアイデアが浮かぶきっかけになることも。例えば、大阪市にある「オオサカンスペース」では、利用者同士の発案により「∞books(ムゲンブックス)」という無料の書籍出版サービスが事業化されました。各々のスキルや業種を生かして、セミナーやイベントが行われることも多くあります。

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自営業やフリーランスの仕事場として考えられがちなコワーキングスペースですが、会社員の利用も少なくないそうです。例えば、東京は日本橋にある「Clip ニホンバシ」。会社員の登録会員は、書類作成や打合せを行うだけでなく、参加人数30人という大規模な会議も行うこともあるとか。「集中しやすいし、アイデアが出やすい」と人気で、実際150人を超える会員の半数が会社員だといいます。

さらに、子どもを持つ「ママワーカー」に特化したサービスも人気を得ています。東京は赤坂にある「HatchCowork+KIDs」。ガラス戸で中がうかがえるキッズルームがあるので、子どもの様子を見ながら仕事ができると評判です。

現在、全国で350件近くあるとも言われている、コワーキングスペース。働き方を変えたいときに、『第三の仕事場』を一つの選択肢として確保しておくのもいいのでは?

<参考>
http://toyokeizai.net/articles/-/83056
http://www.sankei.com/west/news/150510/wst1505100007-n1.html
http://dot.asahi.com/aera/2015021100008.html
https://feature.cozre.jp/34955
http://www.lifehacker.jp/2014/02/140202working_remotely.html