NHK『サラメシ』という番組が人気です。

テレビ番組で取り上げられるくらい皆が気になっている、働く人の昼食事情。新生銀行の調査によれば、2015年のサラリーマンの平均昼食代は601円で、2007年から500円台を上回ることのなかった状況と比べると、多少上向きに転じている様です。

しかし、まだまだ厳しい懐事情は続いており、社員食堂は多くのビジネスマンのランチの主要な選択肢となっていることでしょう。

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そもそも、社員食堂はバブル崩壊後の経済状況の中で、縮小傾向をたどっていました。生命保険文化センターによると、90年代以降、2000年初頭あたりの頃まで減少傾向が顕著で、2002年にはその設置率が18.8%にまで落ち込んでいます。

ところが、2008年に定期検診に腹囲測定が追加され、メタボリックシンドロームという言葉も取り上げられるようになると、状況は徐々に変わってきました。
会社が社員食堂で社員の健康増進に勤めるような取り組みが生まれてきたのです。

2010年には、体脂肪計メーカータニタの社員食堂のメニューが、そのヘルシーさで脚光を浴び、レシピ集が出版されました。その後も「社食メニュー」は注目を集め、再春館製薬所やヨーガンレール、日本マイクロソフトなど、多くの「社食レシピ」が誕生しています。今まで「低価格でお腹を満たす」ことにのみ存在意義があった社員食堂が、社員の健康や幸福を積極的に作り出す場として考えられるようになったのです。

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日本ヒューレッド・パッカードも、その革新的な社員食堂が注目されています。900席、5600平米を誇る大規模な食堂では、座敷席やテラス席も完備。さらに、ワインセラーには200本近いワインも常備されているというから驚きです。会計も皿に組み込まれたICチップで、金額や栄養素、カロリーを表示し、電子マネーで精算。あの人気ドラマ「半沢直樹」の撮影に利用されたのというのも納得の充実ぶりです。

また、楽天の社員食堂では、宗教上肉を食べられない社員に配慮して、ハラールフードを提供。多国籍な社員が在籍する企業ならではの工夫がうかがえます。一方博報堂の社員食堂は、有名レストラン「KIHACHI」が調理を手がけており、社食でお客様との打合せを行うことも多いとか。こういった、もはや社員食堂のレベルを超えた施設が、全国で続々と整えられています。

さらに珍しいところでは、農林水産省の職員食堂があげられます。平日の昼間には一般の人も利用できるこの食堂では、国産の食材を積極的に使用。メニューに食料自給率を示す徹底ぶりです。また、クジラの竜田揚げやクジラソーセージなど、調査捕鯨によるクジラを使った料理も提供。安価で美味しいとの評判も相まって、いつも混雑しているようです。

安く早く済ませるための社員食堂から、社員の健康や幸福、社外への広報に至る幅広い役割を担うようになった、社員食堂。今後は一体どこまで進化をとげるのか、とても楽しみです。

<参考>
http://www.garbagenews.net/archives/2074709.html
http://www.ewel.co.jp/totallabo/column/welfare_13/index.html
http://www.lifehacker.jp/2013/03/130313hp_staff_canteen.html
http://matome.naver.jp/odai/2140136116623797501?&page=1
http://news.livedoor.com/article/detail/10157848/