通常、学校を経営するのは、学校法人や自治体。一般企業が学校経営に乗り出す例はあまり多くありません。しかし、企業理念の実現や、もっと現実的には、人材の育成・確保のために、一般の企業が学校を設立することもあります。有名企業が手がける学校について調べてみました。

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まずは誰もが知っている世界的大企業、トヨタ自動車。実はトヨタ工業学園という学校を運営しています。高等部と専門部からなるこの学校では、トヨタを支えるものづくりのプロとなるべく、技能の研修が受けられます。なんと学費は無料で、月々手当を受給しながら学べるとのこと。さらに高卒資格の取得もできて、成績優秀者は豊田工業大学への進学も可能だそうです。この大学も、トヨタ自動車の運営ですが、授業料や入学金が国立大学並みに安いだけではなく、トヨタグループへの就職について多くの学校推薦枠があるのも、学生にとっては魅力的でしょう。

トヨタ自動車が出資した学校として他に有名なのが、海陽学園。中高一貫の全寮制学校で男子校です。次代のリーダーを育成すべく創立されたこの学校は、平成18年に設立されたばかり。特別講義に力を入れていて、各界のトップランナーが次々講演しています。過去にはノーベル賞受賞の野依良治氏が教鞭をとったことも。また、国際交流にも積極的で、寮には多くの海外からの学生を受け入れているようです。

同じ自動車関連企業では、日野自動車やデンソー、マツダも企業内学校を作っています。日野自動車が運営する日野工業高等学園も、学生には給与が支給されるという好待遇。学びたいことや職業観が定まっている人には、これ以上ない良い環境なのではないでしょうか。

一方、電機メーカーである日立製作所にも専修学校がありました。日立工業専修学校は、創立がなんと1910年。初代社長の小平浪平が「事業の発展は人にあり」という理念のもと設立したそうです。学費や寮費は無料で、卒業後は日立グループ各社への入社が保障されています。

製造業だけではありません。日本の物流を支える、日本通運。ここにも、企業経営の学校がありました。それが、流通経済大学。こちらも、もとをたどると歴史は古く、1940年に運送業の専門教育機関として発足。卒業後、今では多くの学生が、日本通運の関連会社各社だけでなく、各界に就職しています。

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さらに、旅行・観光業にも、専門学校がありました。JTBが経営する、JTBトラベル&ホテルカレッジ。こちらは、旅行とホテルの専門学校として人材育成を行っていて、在学中にはJTBの海外支店での実践的な研修も受けられるようです。

いかがだったでしょうか。どの学校も、設立の目的や学校の形態は違っていても、いずれも企業の理念が形となってあらわれていることは間違いありません。学生にとっても、就職を見据えた勉強ができるのは大きなメリットになるでしょう。

<参考>

http://matome.naver.jp/odai/2143642513119835801

http://president.jp/articles/-/12260?page=5

http://www.jtbcorp.jp/jp/jtb_group/jtc/index.asp

http://www.kaiyo.ac.jp/index.html