introduction

鹿児島県南九州市は、薩摩半島の中央部に位置し、頴娃(えい)、知覧、川辺(かわなべ)の旧3町が合併して誕生しました。

武家屋敷庭園群や、特攻平和会館がある知覧に代表されるように、歴史と観光のまちとして知られますが、市内のあちらこちらに田園風景が広がる「農業のまち」としての顔も持ちます。

そんな南九州市 川辺町にある道の駅「川辺やすらぎの郷」の農産物販売所の勤務からスタートし、農業と消費地を繋ぐ最前線の現場で、さまざまな経験を積みながら「農業×◯◯」の生業づくりを目指す創業型人材を募集します!

気になる 「気になる」からは、この会社へのお問合せができます。

南九州市役所(地域おこし協力隊)

南九州市川辺町

この会社の雰囲気

地域の直売所としての存在

農家の朝は早い。多くの農家が野菜を持ち寄る姿から、やすらぎの郷の一日が始まります。

南九州市北部にある川辺町は、県庁所在地である鹿児島市に隣接しています。

やすらぎの郷は、その中でもさらに鹿児島市に近く、車で20分も走ると、鹿児島市街の商業施設や住宅地が見えてきます。

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やすらぎの郷は、都市と農村の交流促進を目指し、平成12年4月にオープンしました。

ドライバー向けの休憩所や情報提供など、道の駅本来の機能に加え、人が集まるという特性を活かしたロードサイド型の直売所として、市内の農家と消費者を繋ぐ交流拠点としての役割もあわせ持っています。

店内には農家が丹精込めて生産した新鮮な野菜がずらりと並びます。また、施設内に加工所を配置し、地場産品の加工に注力。

特に、地元産の名水と大豆から作られる「寄せ豆腐」は、町内外から好評を博しており、遠方から訪れるファンも多いです。

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開業からしばらくは、県内でも屈指の直売所として知られ、県内外から視察や来訪が相次ぎました。その後、多くの直売所、道の駅の誕生とともに、昨今は落ち着きを見せつつあります。

とはいえ、市が運営に関わる第三セクターの有限会社として、開業以来の黒字経営が続いています。

現在は「地域密着型の健全経営」を売りに、開業当初から勤務する生え抜き社員らが支配人や統括を務め、運営しています。

農家とお客様をつなぐ交流の拠点

開業時から、やすらぎの郷で働く東さんと、西迫さんにお話しを伺いました。

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(左:東支配人 右:西迫課長/野菜ソムリエの資格を持つ)

「地元の農家の方々や、お客さまから愛していただき、毎日のように訪れる方も多数おられ、農産物の販売所としてだけでなく、交流の拠点としても喜ばれています。自分で言うのもなんですが、とても良い施設なんです」と、東支配人。

「多くの直売所が誕生した今となっては、施設のハード面では見劣りするところもありますが、健全な運営に励んでいます。市からは、支配人や私に運営面を委ねられており、200軒を超える地域の農家さんに貢献すべく、日々頑張っています」と、西迫農産物販売課長。

川辺町の農業とやすらぎの郷の現状

農業のまち南九州市は、これまでにお茶とサツマイモの生産量で日本一を獲得したこともあるほどの生産量を誇ります。

そうした大量生産を支える広大な田園風景が広がる頴娃や知覧と比べると、川辺はどちらからといえば、小規模農家が多い印象です。

鹿児島市街へのアクセスの良さと、やすらぎの郷があるという立地を活かして、多品種・少量生産や、独自の販路開拓、農産物加工品の製造販売などに積極的に取り組む農家も多く存在し、川辺は「多様な農業の展開が可能な地域」と言えます。

ポテンシャルを秘めながらも、地域の農家が単体でこうした活動に取り組むには情報や人材などの制約から難しい面もあり、さらに高齢化や後継者不足などが近年の課題となりつつあります。

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課題を抱える農家への後押しの思いを込めて、やすらぎの郷では、さまざまなイベントを開催したり、地域の農家との関係性を土台とした農産物の品質と品ぞろえの強化、加工品の開発といった「直売所本来の魅力の創出」に力を入れています。

しかし、直売所間の競争も増す中で、日々の業務に追われ、きめ細やかな対応が十分に出来ているとは言えない状況もあります。

成熟した直売所として、そして地元農家から必要とされる直売所であり続けるために、もう一歩踏み込んだ農家との関係づくりや、店舗運営の工夫が求められる時がきたと考えています。

ここだからこそ出来ること

やすらぎの郷には、前述の西迫さん(鹿児島県 野菜ソムリエ試験 第1期生)が勤務しており、野菜の旬の見極めや栄養価、保存方法など多くのアドバイスを求めることが出来ます。

また併設するレストラン「スターフル」では、やすらぎの郷で取り扱っている新鮮野菜など、地元食材を活用したメニューも提供しています。

日本の食文化への関心が高まる中で、オーガニック志向が強い都市住民や外国人に対し、生産者・産地側から安心・安全な食材の魅力を伝えていくことは、今後ますます重要なテーマとなってきます。

今回の隊員の受け入れ窓口となる、市役所農政課 屋田さんにお話しを伺いました。

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(市役所農政課 屋田さん)

「これまでは、やすらぎの郷の役割を、地元生産者の販売の場を確保すること、と考えていました。どちらかといえば受け身だったスタンスから、これからは私たちが農産品を届けたいマーケットに対し率先して働きかけ、集客のための体制をつくることを目指したいと思います。

数年前にはECサイトもオープンしましたが、積極的な活用が出来ていないなどの課題もあります。新たな一手を打ちながら進んで行く感性や行動力は、私たち行政職員や現在のやすらぎの郷の従業員には不足しがちなもので、こうした役割を隊員の方に担ってもらえたらと考えています」

隊員に求められることと、任期終了後の生業づくりに向けて

隊員のミッションは

「農業の世界に新たな風を吹き込むこと」と、
「農と繋がる分野における自身の生業をつくること」です。

隊員は市からの派遣という形で、有限会社 川辺やすらぎの郷に所属することになります。

1年目はやすらぎの郷での業務に従事しますが、その後は、自身の生業づくりに向かうためのプログラムを用意しています。

2年目はやすらぎの郷から外部での活動に軸を移し、3年目は自身が目指す分野での生業づくりに挑むという流れです。

1年目の勤務イメージとしては、直売所における通常業務を経験するとともに、市内の生産農家や、行政の農政担当者らとの関係構築を図りつつ、新たな来訪者を獲得するための仕掛けづくりに携わっていただきます。

農家と消費者が繋がる最前線、かつ食品加工品の生産現場でもあり、200以上の農家とのネットワークを保有。また市の関連施設であることから、常駐する市の農業普及員とともに農家を廻ることで、農業とそれを取り巻く環境を俯瞰する目を養うことになります。

こうした経験を蓄積することで、2年目〜3年目に自身が進むべき道を模索し実践に移ります。

着任する隊員には、販売促進に関わる企画立案や、その実践などの実務経験があることが望ましいですが、どちらかといえば行政や農家との連携や、新たな挑戦に伴うコミュニケーション能力や積極性の方が大切だと考えます。

予め与えられた仕事が得意な方にとっては、負担の大きい業務かもしれませんが、都市部にいながら農のある暮らしを志す方にとって、多様な経験が積める直売所。そして新規就農なども担当する、市農政課との関わりの中から、最長3年間の期間をかけて、自身の進路を模索出来るこの制度は、大きなチャンスになるのではないでしょうか。

任期後の進路としては、農業と都市部を繋ぐコーディネート業務、ECサイトの運用、農産加工品の生産や販売、新規就農、農業法人への就業などを想定していますが、隊員とやすらぎの郷の双方が望む場合は、やすらぎの郷で継続して働く道を選択することも可能です。

制度づくりの大切さ

隊員は「(有)川辺やすらぎの郷」に所属することになります。

やすらぎの郷は市の農政課が管轄していますので、当然行政との関わりはありますが、隊員があえて外部団体所属や着任中に外部拠点に移る体制としている背景を、市役所ふるさと振興室で協力隊制度の運用に関わる上野さんはこう説明します。

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(ふるさと振興室 上野さん)

「隊員にとって、市役所職員と同じ職場に身を置き関係を築くことの意義はあるものの、任期満了後の生業づくりを目指す上では、いつまでも同じ環境のもとで働き続けることは、望ましいことではないと感じています。

当市で活動する先輩隊員も、まちづくりに取り組むNPO法人や、観光振興やガイド運営に取り組む地域団体に派遣する形をとりました。

隊員の意向を尊重し活動の自由度を高めるために外部団体と連携したり、役所外勤務の体制を提供することは、当市の協力隊制度の基本方針となりつつあります」

南九州市には、これまで6名の隊員が着任しています。

うち1名は昨年10月の任期終了後、活動の延長として当地でデザイナーとして独立する道を選びました。また今年1月に任期を終えたもう1名も、任期中に立ち上げたゲストハウスや研修を担う会社の代表として、そのまま会社運営に関わることになりました。

2人は任期中に空き家を再生して立ち上げたシェアオフィスに席を置き、それぞれ新たな道を歩み始めています。

また現在活動中の隊員の中には、伝統的な知覧 武家屋敷内で新たな観光ビジネスの立ち上げを模索する日々を送ったり、インターネットを中心とした情報発信活動を行いながら個人の生業に繋げる道を模索したりと、それぞれが創業に向けた活動を着々と展開しています。

そうした先輩隊員との交流は、隊員の挑戦を力強く後押ししてくれるはずです。

隊員のサポート体制

南九州市と連携し、市として最初の協力隊員を受け入れた民間のまちづくり団体、NPO法人頴娃おこそ会の加藤さんはこう話します。

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(NPO法人頴娃おこそ会 加藤さん)

「協力隊導入のポイントは、隊員の受け入れを希望する行政側のニーズと、隊員自身の生業づくりの両立をどう図るか、ここに尽きます。

この度も実際に隊員を受け入れた経験を持つ民間団体の立場から、行政担当者と隊員の生業づくりについて何度も議論を交わしながら、制度づくりに関わらせてもらいました。また着任後も私たちがアドバイザーという立場で隊員と定期的な面談を行うことで、メンタルサポートや創業に向けた相談環境を提供します。

私自身も10年前に関東からやってきた移住者ですが、何かに挑戦したい若者がここで何かを実現し、地域や行政に感謝しつつ、この地に住み続けることになれば将来にわたって地域に大きく貢献することになります。

協力隊制度は人づくりのための最大のツールです。だからこそ、地域として着任した隊員をしっかりと応援し、まちづくりに関わる仲間、同志を増やしていきたいと考えています」

やすらぎの郷と地域の農業に新たな風を吹き込みつつ、自身の生業づくりにも取り組めるやりがいのある仕事です。

そんな環境で挑戦したいと考える方の応募を、お待ちしています!

 

【ライター/加藤 潤(株式会社オコソコ )】

関連リンク

【参考URL①/先輩隊員の活動報告】

南九州市地域おこし協力隊 活動報告

【参考URL②/地域に関する詳細情報】

南九州市役所ホームページ

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