introduction

鹿児島県南九州市は薩摩半島の中央部に位置し、頴娃、知覧、川辺の旧3町が合併して誕生しました。武家屋敷や特攻平和会館がある知覧に代表されるように歴史と観光のまちとして知られますが、市内随所に見渡す限りの田園風景が広がる農業のまちとしての顔を持ちます。

今回はそのような南九州市川辺町にある道の駅「川辺やすらぎの郷」の農産物販売所での勤務からスタートし、農業と消費地を繋ぐ最前線の現場でさまざまな経験を積みつつ、農と関わる分野でのなりわいづくりを目指す、創業型人材を募集します。

気になる 「気になる」からは、この会社へのお問合せができます。

南九州市役所(地域おこし協力隊)

南九州市川辺町

この会社の雰囲気

地域の直売所としての存在

農家の朝は早い。やすらぎの郷は、多くの農家が野菜を持ち寄る姿から一日が始まります。

南九州市北部にある川辺町は、県都・鹿児島市に隣接しており、やすらぎの郷はその中でもさらに鹿児島市に近く、車で20分も走ると、鹿児島市街の商業施設や住宅地という場所にあります。

2020_kawanabe_1280_847_06

そのような立地にあるやすらぎの郷は、都市と農村の交流促進を目指し平成12年4月にオープンしました。

ドライバー向けの休憩所や情報提供など道の駅本来の機能に加え、人が集まるという特性を生かしたロードサイド型の直売所として、市内の農家と消費者を繋ぐ交流拠点としての役割をあわせ持っています。

店内には農家が丹精込めて生産した新鮮な野菜がずらりと並ぶほか、施設内に加工所を配置したことに表れているように、地場産品の加工に注力している直売所であることも特徴の一つです。

2020_kawanabe_1280_847_01

特に地元の名水と地元産の大豆から作られる「寄せ豆腐」は多くの方から好評を博しており、遠方からこの品を求めて来訪されるファンも見受けられるほどです。

開業からしばらくは県内でも屈指の直売所として知られ、県内外からも多くの視察来訪者が相次いだ時期もありました。その後、多くの直売所、道の駅の誕生とともに、昨今は落ち着きを見せつつありますが、市が運営に関わる第三セクターの有限会社として黒字経営が続き、開業当初から勤務する生え抜き社員らが支配人や統括を務めるなど、地域密着型の健全経営を売りにしています。

農家とお客様をつなぐ交流の拠点

開業時からここで働くおふたりにお話しを伺いました。

2020_kawanabe_1280_847_07(左:東支配人 右:西迫課長。野菜ソムリエの資格も持つ)

「生産者である地元の農家の方々や、お客様から愛して頂き、毎日のようにやって来る方も多数おられ、交流の拠点としても喜ばれています。自分で言うのもなんですが、とても良い施設なんです。」と、東支配人。

「多くの直売所が誕生した今となっては、施設のハード面では見劣りするところもありますが、健全な運営に励んでいます。市からは、支配人や私に運営面を委ねられており、200軒を超える地域の農家に貢献すべく頑張っています。」と西迫農産物販売課長。

 

川辺町の農業とやすらぎの郷の現状

農業のまち南九州市は、これまでにお茶とサツマイモの生産量で日本一を獲得したこともあるほどの生産量を誇ります。そうした生産を支える広大な田園風景が広がる頴娃や知覧と比べると、川辺はどちらからと言えば小規模な農家が多いのが特徴です。

鹿児島市街に近く、このやすらぎの郷があるという立地を活かし、多品種少量生産や、独自の販路開拓、農産物加工品の製造販売などに積極的に取り組む農家も存在し、こうした多様な農業の展開が可能な地域と言えます。

ポテンシャルを秘めながらも、地域の農家が単体でこうした活動に取り組むには情報や人材などの制約から難しい面もあるほか、農家の高齢化や後継者不足などが課題となりつつあります。

2020_kawanabe_1280_847_02

開業から20年を経たやすらぎの郷は、こうした農家の後押しもしたいとの想いで、さまざまなイベントを開催したり、地域の農家との関係性を土台とした農産物の品質と品ぞろえの強化や、加工品の開発など、直売所本来の魅力の創出に力を入れています。

しかしながら、直売所間の競争も増す中で、日々の業務に追われきめ細やかな対応が十分に出来ているとは言えない状況です。

成熟した直売所として、そして地元農家からも選ばれ必要とされる直売所であり続けるために、もう一歩踏み込んだ農家との関係づくりや、店舗運営の工夫が求められる時と考えています。

ここだからこそ出来ること

このやすらぎの郷には、前述の西迫さんが鹿児島県の野菜ソムリエ試験の第1期生として勤務しており、野菜の旬の見極めや栄養価、保存方法など多くのアドバイスを得ることが出来ます。また併設するレストラン「スターフル」では、やすらぎの郷で取り扱う新鮮野菜などの地元食材を活用したメニューも提供しています。

東京オリンピックをきっかけに外国人来訪者の増加や、日本への関心も高まる中で、オーガニック志向が高い都市住民や外国人に対し、生産者・産地側から安心・安全な食材の魅力を訴求していくことは、今後ますます重要なテーマとなってきます。

 

今回の隊員の受け入れ窓口となる市役所農政課の鰺坂朋子さんにお話しを伺いました。

kawanabe2020_04
(市役所農政課の鰺坂さん)

「これまではやすらぎの郷の役割を、道の駅の直売所への来訪者に対し、地元生産者の販売の場を確保することと考えていました。どちらかと言えば受け身だったスタンスから、これからは私たちが農産品を届けたいマーケットに対し率先して手を打ち、集客のための体制をつくることを目指したいと思います。

数年前にはECサイトもオープンさせたものの、積極的な活用が図り切れていないなどの課題もあります。新たな一手を打ち進んで行く感性や行動力は私たち行政職員や現在のやすらぎの郷従業員には不足しがちなもので、こうした役割を隊員には担ってもらいたいと考えています。」

隊員に求められることと、任期終了後のなりわいづくりに向けて

隊員は市からの派遣という形態で(有)川辺やすらぎの郷に所属することになります。1年目はやすらぎの郷での業務に従事しますが、その後は自身のなりわいづくりに向かうためのプログラムを用意しています。

農業の世界に新たな風を吹き込むことと、農と繋がる分野における自身のなりわいをつくることがミッションです。2年目はやすらぎの郷から外部での活動に軸足を移し、3年目は自身が目指す分野でのなりわいづくりに挑むという流れです。

1年目の勤務イメージとしては、直売所における通常業務を経験するとともに、市内の生産農家や行政の農政担当者らとの関係構築を図りつつ、新たな来訪者を獲得するための仕掛けづくりに携わっていただきます。

農家と消費者が繋がる最前線、かつ食品加工品の生産現場でもあり、200以上の農家とのネットワークを有し、また市の関連施設であることから常駐する市の農業普及員とともに農家を廻る機会を得ることで、農業とそれを取り巻く環境を俯瞰する目を養うことになります。こうした経験を蓄積することで、2年目、3年目に自身が進むべき道を模索し実践に移ります。

着任する隊員には、販売促進に関わる企画立案やその実践などの実務経験があることが望ましいですが、むしろ行政や農家との連携や、新たな挑戦に挑む上での、コミュニケーション能力や積極性の方が大切だと考えます。

予め与えられた仕事が得意な方にとっては負担の大きい業務かもしれませんが、都市部にいながら、農のある暮らしを志す方にとって、多様な経験が積める直売所、そして新規就農なども担当する市農政課との関わりの中から最長3年間の期間を掛けて、自身の進路を模索出来るこの制度は、大きなチャンスになるものと考えています。

任期後の進路としては、農業と都市部を繋ぐコーディネート業務、ECサイトで販売、農産加工品の生産や販売、新規就農、農業法人への就業などを想定していますが、当人とやすらぎの郷側の双方が望む場合は、やすらぎの郷で継続して働く道を選択することも可能です。

制度づくりの大切さ

隊員は「(有)川辺やすらぎの郷」に所属することになります。

やすらぎの郷は市の農政課が管轄していますので、当然行政との関わりはありますが、隊員があえて外部団体所属やその後外部拠点に移る体制としている背景を、市役所ふるさと振興室で協力隊制度の運用に関わる上野晋作さんはこう説明します。

2020_kawanabe_1280_847_04
(ふるさと振興室の上野さん)

「隊員にとって、市役所職員と同じ職場に身を置き関係を築くことの意義はあるものの、任期満了後のなりわいづくりを目指す上では、いつまでも同じ環境のもとで働き続けることは、望ましいことではないと感じています。

当市で活動する先輩隊員も、まちづくりに取り組むNPO法人や、観光振興やガイド運営に取り組む地域団体に派遣する方式としています。隊員の意向を尊重し活動の自由度を高めるために外部団体と連携したり、役所外勤務の体制を提供することは、当市の基本方針となりつつあります。」

南九州市にはこれまで6名の協力隊員が着任しています。

うち1名は昨年10月の任期終了後、活動の延長として当地でデザイナーとして独立する道を選び、またこの1月に任期を終えたもう1名も、任期中に立ち上げた宿や研修を担う会社の代表としてそのまま会社運営に関わることになりました。

ふたりは任期中に空き家を再生して立ち上げた同じシェアオフィスに席を置き、それぞれ新たな道を歩み始めています。

また活動中のもう1名も、伝統的な武家屋敷内で新たな観光ビジネスの立ち上げを模索する日々を送ったりと、それぞれが創業に向けた活動を着々と展開しています。

そうした先輩隊員との交流は、隊員の挑戦を力強く後押ししてくれるはずです。

 

隊員のサポート体制

南九州市と連携し、市として最初の協力隊員を受け入れた民間のまちづくり団体、NPO法人頴娃おこそ会の加藤潤さんはこう話します。

2020_kawanabe_1280_847_03
(NPO法人頴娃おこそ会の加藤さん)

「協力隊導入のポイントは、隊員の受け入れを希望する行政側のニーズと、隊員自身のなりわいづくりの両立をどう図るか、ここに尽きます。この度も実際に隊員を受け入れた経験を持つ民間団体の立場から、行政担当者と隊員のなりわいづくりについても何度も議論を交わしつつ制度づくりに関わらせてもらいました。

また着任後も私たちがアドバイザーという立場で隊員と定期的な面談を行うことで、さまざまな相談に乗ったり創業に向けたサポート体制を提供します。私自身も10年前にこの地にやって来た移住者ですが、何かに挑戦したい者がここで何かを実現し、地域や行政に感謝しつつこの地に住み続けることになれば、将来にわたって地域に大きく貢献することになります。

協力隊制度は人づくりのための最大のツールです。だからこそ、地域として着任した隊員をしっかりと応援することで、まちづくりに関わる仲間、同志を増やしていきたいと考えています。」

 

やすらぎの郷と地域の農業に新たな風を吹き込みつつ、自身のなりわいづくりにも取り組めるやりがいのある仕事です。そんな環境で挑戦したいと考える方の応募をお待ちしています。

 

【ライター/加藤 潤(株式会社オコソコ )】

  • この会社へ問い合わせる

基本情報

すべての項目が必須です。

メールアドレス

連絡の取れるメールアドレスをご入力ください。必須

ご要望、ご質問など

「こんな情報が欲しい」などご要望を簡単にお書きください

規約に同意

 確認画面は表示されません。上記内容にて送信しますので、よろしければチェックを入れてください。この項目にチェックされたと同時に、プライバシーポリシーに同意されたものとみなされます。ご同意の上、送信してください。