ブーズ&カンパニーが行っている「もっともイノベーティブな企業」調査では、2010〜2012年まで3年連続で、1位アップル、2位グーグル、3位3Mという順位でした。3年間変わらずに2位と3位を占めた3Mとグーグルには、実は共通した企業文化があるのをご存知でしょうか。それが「就業時間の一部を、自分の興味関心に従って自由に使うことができる」というものです。
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3Mのウェブサイトには、こんな文章があります。

3Mは1948年以来、社員に勤務時間の15%を自分自身のプロジェクトに使うように奨励しています。ユニークなチームを作り、自社のリソースを使って、自身の直感に従って、問題解決を追究するのです。

『15%カルチャー』とも呼ばれるこの慣習は、会社の設備を最大限利用して、自分の好きな研究テーマに時間を費やせるというのが特徴です。この試みから、貼ってはがせる不思議な特性をもった接着剤が生まれ、のちのポストイットのヒットにつながりました。

一方、グーグルも3Mのこの文化を参考にし、勤務時間の20%を自分のプロジェクトにあてる『20%ルール』という勤務ルールを設けています。GoogleマップやGoogleニュース、さらにはGmailもこの取り組みから生まれているというから、その効果たるや無視できないものでしょう。

やらなければいけない仕事から開放され、やってみたい仕事にのみ集中できる時間が認められることで、創造性に磨きがかかり、新たなアイデアも生まれやすくなることは、想像に難くありません。また、自らプロジェクトを立ち上げ、周りを取り込みながら進めていく経験が、能力開発や組織の活性化にも一役買っている部分もあります。

ただ、一方でそうした取り組みが、その他の通常業務を圧迫したり、制度自体が形骸化していく場面もあるようです。グーグルを参考に20%ルールを導入した、ソフトウェア開発企業Atlassianでは、20%の時間をあらかじめ予定に入れてしまうことで、他の作業の負荷があがってしまったという声が多く上がりました。また、グーグルでは、当初は『20%ルール』を「義務」とすることで、大きな成功を得てきたのですが、昨今ではそれが「許可制」に変わってしまったといいます。さらに、大企業として地位を築くうちに、小さな革新的アイデアを生み出すことよりも、生産性を上げることに重きが置かれるような状況になり、今ではこの制度を十分に利用できない状況になっているともいわれています。

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『15%カルチャー』『20%ルール』がもたらす革新的な成果は、多くの人が認めるところでしょう。ただ、時間的な余裕が全くない場面や、革新よりも生産性を重視する風土では、いくつかの弊害をもたらすこともありえます。企業の方向性や、その時々の状況に応じて、上手く取り入れることが成功の鍵といえそうです。

<参考>
http://www.lifehacker.jp/2012/08/120824google8020rule.html
http://www.infoq.com/jp/news/2013/08/google-20-time
http://blogs.itmedia.co.jp/hana/2013/12/3m-e9fa.html
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2009/12/google20-9d35.html
http://www.lifehacker.jp/2010/03/100323google_20time.html